2010年6月7日月曜日

【映画】告白

★★★★☆

湊かなえ原作の本屋大賞受賞作の映画化。
「下妻物語」「嫌われ松子の一生」の中島哲也監督最新作。

「読んでから観るか、観てから読むか(by角川映画)」で今回は読んでから観ました。
原作の感想は瞬間的に興味を持たせるのは上手いけど全体としては「微妙…」な感じでした。グイグイ読ませるけどあとにはあんまり残らないというか。あっさり風味です。ただこの登場人物の「主観」しかなくて一見映画化するには難しそうな作品を中島監督がどう映画化するのかかなり楽しみでした。


結論から言うとこれははっきり快作・怪作といって良いと思います。
今年の邦画でも上位に来るんじゃないですか。とくに松さんは主演女優賞ものです。また木村佳乃の息子を殺害しようとする直前の台所で思い出したように日記を書くシーンはちょっと最近ないくらいゾッとしました。あの状況で「天国」はないでしょう…。

もちろんR15指定でえげつない描写もでてくるので万人にオススメできるわけではありません。ミュージカルっぽいシーンとか中学生の描き方、HIVのあまりにも幼稚すぎる捉え方とかのデフォルメし過ぎなところとかは不快に感じる人もいると思います。ものすごいお金がかかっている実験的な映画といえるかもしれないです。

前述しましたが主観しかないということは真実が見えにくいとも言えます。そこにCG、スローモーションの多用、そしてこれでもかと音楽を重ねてくる中島監督の作風が完全にはまったと言えるんじゃないでしょうか。ただ色々考える余地がありすぎて頭の中がグラグラです(笑)。全然まとまりません。でもこのわからなさが心地良いかも。


完全に余談ですが、エピソードの繋ぎ方が「愛のむきだし」に似てる気がしました。音楽の乗せ方とか。正直音の使い方は全体的にあんまり好きではないけどcurly giraffeを使っているのには驚きました。

個人的に中島監督はあんまり好きな監督ではありませんでしたがこれだけのクオリティのものを見せられるとそんなこと言ってられないです。恐れ入りました…。
間違いなく原作より面白いです。これはかなり特殊なケースだと思います(笑)。

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