★★★☆☆
北野武監督最新作。
基本的に北野映画はかなり好きです。特に初期のものは。ただ近作3作品(「TAKESHIS'」「監督・ばんざい!」「アキレスと亀」)はあまりの評判の悪さに怖くて観てません…。
で、今作はというと久々に原点回帰というか何年かぶりのヤクザ映画なのでちょっと期待値が上がりすぎてしまってましたね。前評判も高かったし。つまらなくはないけど絶賛するほどでもないような。結局「何だこの野郎!」「バカヤロー!」の世界を許容できるかできないかになっているのかなと。明らかに意図的に同じ台詞を執拗に言わせてて、そこにノれないと全部ダメみたいな。個人的にはギリギリありだと思いました。
また北野映画にはかなり珍しいと思いますが電話でのやりとりとか説明過多な台詞が多過ぎでそこが気になりました。今回エンタメ路線ということで意識的にそれをやっているのであればそれはちょっと違うような…。「HANA-BI」のラストシーンの岸本加世子が放つ一言に集約された美しさのイメージがあるので最近の邦画のダメなところが、まさか北野映画にも見られるとは…(あとアップシーンの多用も)。
これだけ女排除の男しか出てこない世界なのに裏切りとか他者を貶めることが目立ち過ぎててあまりホモソーシャル的な感じがなくて残念(椎名桔平ぐらいですかね)。任侠映画といえばやっぱりそこは重要な要素だと思うので。
いくつかの殺害シーンの描写が結構斬新だったのでそこは楽しめました。特にラスト近くの車を使った“あの”シーンは一見の価値ありだと思う。
他にも音楽の使い方とか不満な点はいろいろありますが、もちろん現状の邦画に比べると圧倒的に力強く面白いのは間違いないです。ラスト近くのたけし演じる大友の決断なんかこれまでの北野映画にはなかった展開だと思います。次作は高倉健主演でヤクザ映画を撮るという噂もありますが、かなり期待して良いんじゃないんでしょうか。
2010年6月13日日曜日
【映画】アイアンマン2
★★★★☆
何もかも全てを持っていて、でも子供っぽいところもある主人公トニー・スタークをロバート・ダウニーJrが前作同様好演しているアメコミヒーロー映画です。
アメコミ全然詳しくないですが前作をDVDで観ててアイアンマンを作りあげていく工作場面とかアメコミ映画らしくないユーモアなんかがちりばめられててかなり好きだったので結構楽しみにして行きました。あと音楽の使い方も好きです。
結果としてかなり良かったです!相変わらず役者陣は魅力的に描かれています。
特に黒髪のスカーレット・ヨハンソンがヤバい!この映画でファンになりましたよ。スピンオフで映画作られるかもしれないそうですが期待してます。
悪役ミッキー・ロークは「レスラー」のランディ・ラムにしか見えません(笑)。あの何を考えているかわからない“微笑”が非常に不気味さを纏ってて良かったです。ラストはかなりあっさり風味ですけど…。
ただ残念ながら序盤のモナコのシーンが面白すぎてここが一番の山場になってしまいましたね。なので後半部分がやや単調になってしまいました。クライマックスが夜のシーンでしたが個人的に動き回るシーンは暗いとわかりずらくあまり好きではないのでそこは不満。
こういう映画は大画面大音響で観るのが一番です。日本ではアメコミ原作というだけで敬遠されがちですがエンターテインメント映画として万人におすすめできると思います!
何もかも全てを持っていて、でも子供っぽいところもある主人公トニー・スタークをロバート・ダウニーJrが前作同様好演しているアメコミヒーロー映画です。
アメコミ全然詳しくないですが前作をDVDで観ててアイアンマンを作りあげていく工作場面とかアメコミ映画らしくないユーモアなんかがちりばめられててかなり好きだったので結構楽しみにして行きました。あと音楽の使い方も好きです。
結果としてかなり良かったです!相変わらず役者陣は魅力的に描かれています。
特に黒髪のスカーレット・ヨハンソンがヤバい!この映画でファンになりましたよ。スピンオフで映画作られるかもしれないそうですが期待してます。
悪役ミッキー・ロークは「レスラー」のランディ・ラムにしか見えません(笑)。あの何を考えているかわからない“微笑”が非常に不気味さを纏ってて良かったです。ラストはかなりあっさり風味ですけど…。
ただ残念ながら序盤のモナコのシーンが面白すぎてここが一番の山場になってしまいましたね。なので後半部分がやや単調になってしまいました。クライマックスが夜のシーンでしたが個人的に動き回るシーンは暗いとわかりずらくあまり好きではないのでそこは不満。
こういう映画は大画面大音響で観るのが一番です。日本ではアメコミ原作というだけで敬遠されがちですがエンターテインメント映画として万人におすすめできると思います!
2010年6月7日月曜日
【映画】告白
★★★★☆
湊かなえ原作の本屋大賞受賞作の映画化。
「下妻物語」「嫌われ松子の一生」の中島哲也監督最新作。
「読んでから観るか、観てから読むか(by角川映画)」で今回は読んでから観ました。
原作の感想は瞬間的に興味を持たせるのは上手いけど全体としては「微妙…」な感じでした。グイグイ読ませるけどあとにはあんまり残らないというか。あっさり風味です。ただこの登場人物の「主観」しかなくて一見映画化するには難しそうな作品を中島監督がどう映画化するのかかなり楽しみでした。
結論から言うとこれははっきり快作・怪作といって良いと思います。
今年の邦画でも上位に来るんじゃないですか。とくに松さんは主演女優賞ものです。また木村佳乃の息子を殺害しようとする直前の台所で思い出したように日記を書くシーンはちょっと最近ないくらいゾッとしました。あの状況で「天国」はないでしょう…。
もちろんR15指定でえげつない描写もでてくるので万人にオススメできるわけではありません。ミュージカルっぽいシーンとか中学生の描き方、HIVのあまりにも幼稚すぎる捉え方とかのデフォルメし過ぎなところとかは不快に感じる人もいると思います。ものすごいお金がかかっている実験的な映画といえるかもしれないです。
前述しましたが主観しかないということは真実が見えにくいとも言えます。そこにCG、スローモーションの多用、そしてこれでもかと音楽を重ねてくる中島監督の作風が完全にはまったと言えるんじゃないでしょうか。ただ色々考える余地がありすぎて頭の中がグラグラです(笑)。全然まとまりません。でもこのわからなさが心地良いかも。
完全に余談ですが、エピソードの繋ぎ方が「愛のむきだし」に似てる気がしました。音楽の乗せ方とか。正直音の使い方は全体的にあんまり好きではないけどcurly giraffeを使っているのには驚きました。
個人的に中島監督はあんまり好きな監督ではありませんでしたがこれだけのクオリティのものを見せられるとそんなこと言ってられないです。恐れ入りました…。
間違いなく原作より面白いです。これはかなり特殊なケースだと思います(笑)。
湊かなえ原作の本屋大賞受賞作の映画化。
「下妻物語」「嫌われ松子の一生」の中島哲也監督最新作。
「読んでから観るか、観てから読むか(by角川映画)」で今回は読んでから観ました。
原作の感想は瞬間的に興味を持たせるのは上手いけど全体としては「微妙…」な感じでした。グイグイ読ませるけどあとにはあんまり残らないというか。あっさり風味です。ただこの登場人物の「主観」しかなくて一見映画化するには難しそうな作品を中島監督がどう映画化するのかかなり楽しみでした。
結論から言うとこれははっきり快作・怪作といって良いと思います。
今年の邦画でも上位に来るんじゃないですか。とくに松さんは主演女優賞ものです。また木村佳乃の息子を殺害しようとする直前の台所で思い出したように日記を書くシーンはちょっと最近ないくらいゾッとしました。あの状況で「天国」はないでしょう…。
もちろんR15指定でえげつない描写もでてくるので万人にオススメできるわけではありません。ミュージカルっぽいシーンとか中学生の描き方、HIVのあまりにも幼稚すぎる捉え方とかのデフォルメし過ぎなところとかは不快に感じる人もいると思います。ものすごいお金がかかっている実験的な映画といえるかもしれないです。
前述しましたが主観しかないということは真実が見えにくいとも言えます。そこにCG、スローモーションの多用、そしてこれでもかと音楽を重ねてくる中島監督の作風が完全にはまったと言えるんじゃないでしょうか。ただ色々考える余地がありすぎて頭の中がグラグラです(笑)。全然まとまりません。でもこのわからなさが心地良いかも。
完全に余談ですが、エピソードの繋ぎ方が「愛のむきだし」に似てる気がしました。音楽の乗せ方とか。正直音の使い方は全体的にあんまり好きではないけどcurly giraffeを使っているのには驚きました。
個人的に中島監督はあんまり好きな監督ではありませんでしたがこれだけのクオリティのものを見せられるとそんなこと言ってられないです。恐れ入りました…。
間違いなく原作より面白いです。これはかなり特殊なケースだと思います(笑)。
2010年5月4日火曜日
【映画】ゼブラーマン ゼブラシティの逆襲
★★☆☆☆
三池崇史監督、クドカン脚本、哀川翔主演のパート2です。
最初続編が出来ると聞いたときの印象は
だれもが感じると思いますが
「……………なんで?」でした。
三池とクドカン初タッグ、哀川翔の主演100作目で注目度はあったけど
あのもっさりして終始テンションの上がらない展開はあまり好評ではなかった気が…。
ただ「時かけ」の仲里依紗に完全にヤラれた身としてはゼブラクイーンは
行くしかないかなと。っていうかそれ目当てですね…。
…結果としてそれだけでした。映画としては僕はダメ。
ギャグは完全に滑ってるし前作はまだ許されるレベルだと思ったけど
今回のこのコンビの悪ふざけは完全に度を越してます。
やっぱり三池監督は脚本家によって作品の出来が左右されると思うんで
クドカンとはあんまり相性が良くないんじゃないかと。
終盤はもうメタメタです。
そしてゼブラーマンの造形がかっこ悪いし、特に白。
それでも最後まで観れたのは仲里依紗の魅力でしょう。凄過ぎ!
これだけで★2つです。
ちょっと最近にはいないタイプの女優さんになりつつあるんじゃないでしょうか。まさか哀川翔を完全に喰っちゃうとは。驚きです。
オープニングの入り方は良かったですね。かなり上がりました。
これで期待値がグッと上がったんですけどそこまででしたね。
「ゼブラタイム」というかなり面白い特殊な設定が途中から関係無くなってましたね。ここはもったいないと思いました。
あと仲さんや子役に言わせてるエロを連想させる台詞は嫌いじゃないです(笑)。
三池崇史監督、クドカン脚本、哀川翔主演のパート2です。
最初続編が出来ると聞いたときの印象は
だれもが感じると思いますが
「……………なんで?」でした。
三池とクドカン初タッグ、哀川翔の主演100作目で注目度はあったけど
あのもっさりして終始テンションの上がらない展開はあまり好評ではなかった気が…。
ただ「時かけ」の仲里依紗に完全にヤラれた身としてはゼブラクイーンは
行くしかないかなと。っていうかそれ目当てですね…。
…結果としてそれだけでした。映画としては僕はダメ。
ギャグは完全に滑ってるし前作はまだ許されるレベルだと思ったけど
今回のこのコンビの悪ふざけは完全に度を越してます。
やっぱり三池監督は脚本家によって作品の出来が左右されると思うんで
クドカンとはあんまり相性が良くないんじゃないかと。
終盤はもうメタメタです。
そしてゼブラーマンの造形がかっこ悪いし、特に白。
それでも最後まで観れたのは仲里依紗の魅力でしょう。凄過ぎ!
これだけで★2つです。
ちょっと最近にはいないタイプの女優さんになりつつあるんじゃないでしょうか。まさか哀川翔を完全に喰っちゃうとは。驚きです。
オープニングの入り方は良かったですね。かなり上がりました。
これで期待値がグッと上がったんですけどそこまででしたね。
「ゼブラタイム」というかなり面白い特殊な設定が途中から関係無くなってましたね。ここはもったいないと思いました。
あと仲さんや子役に言わせてるエロを連想させる台詞は嫌いじゃないです(笑)。
2010年3月24日水曜日
2010年3月14日日曜日
【映画】プリンセスと魔法のキス
★★★★☆
久々何年か振りのディズニー2Dアニメ。
日本語吹き替え版で観ました。字幕版の上映館が少なすぎる…。っていうかディズニー映画の扱いが悪すぎ。ここ数年の状況だとしょうがないのか。
ミュージカル映画なので出来れば字幕版で観たかったな…。
黒人のプリンセスだったりメタ的な視点だったり、1910年代という割と最近の舞台設定だったりこれまでのディズニー映画では見られなかった手法を使ってグイグイ物語を引っ張っていきます。若干テンポが早過ぎる感があるけどほとんど完璧じゃないでしょうか。ジョン・ラセターの影響力はスゴイ。
ただ2点不満が…。
王子とティアナがお互い惹かれ合う決定的な場面がないように見えたのと吹き替え版で看板とかも日本語表記になるけど同じ新聞でもなってるところとなってないところとか中途半端。逆にノイズになっちゃうんで無理に日本語にしなくても良いと思う。
『「欲しいもの」と「必要なもの」は違う。』
この言葉にグッときましたね。
そしてもちろんレイに男泣き。
今年観た中では今のところベスト!
久々何年か振りのディズニー2Dアニメ。
日本語吹き替え版で観ました。字幕版の上映館が少なすぎる…。っていうかディズニー映画の扱いが悪すぎ。ここ数年の状況だとしょうがないのか。
ミュージカル映画なので出来れば字幕版で観たかったな…。
黒人のプリンセスだったりメタ的な視点だったり、1910年代という割と最近の舞台設定だったりこれまでのディズニー映画では見られなかった手法を使ってグイグイ物語を引っ張っていきます。若干テンポが早過ぎる感があるけどほとんど完璧じゃないでしょうか。ジョン・ラセターの影響力はスゴイ。
ただ2点不満が…。
王子とティアナがお互い惹かれ合う決定的な場面がないように見えたのと吹き替え版で看板とかも日本語表記になるけど同じ新聞でもなってるところとなってないところとか中途半端。逆にノイズになっちゃうんで無理に日本語にしなくても良いと思う。
『「欲しいもの」と「必要なもの」は違う。』
この言葉にグッときましたね。
そしてもちろんレイに男泣き。
今年観た中では今のところベスト!
2010年3月7日日曜日
【映画】パレード
★★★☆☆
吉田修一原作。行定勲監督作品。
4人でルームシェアをしてる青春群像劇。
原作は昔読んだ記憶が…。
うーん、一言で言ったら惜しい…。
もっと良くなりそうなんだけど。
役者はみんな良かった。特に貫地谷しほりは助演女優賞ものだと思います。サトルの存在感もなかなか。パチ屋の最後琴美と別れた時の後姿が印象的。
それだけに演出が微妙。ただ単に異常者の集団の話になってしまっている。
もっと普通の人たちの凶気みたいなところに着地できれば。
特にラストシーンがね。もったいないなー。
原作読み直そうと思ったけど見当たらず…。
あと中村ゆりが異常にエロい(笑)
吉田修一原作。行定勲監督作品。
4人でルームシェアをしてる青春群像劇。
原作は昔読んだ記憶が…。
うーん、一言で言ったら惜しい…。
もっと良くなりそうなんだけど。
役者はみんな良かった。特に貫地谷しほりは助演女優賞ものだと思います。サトルの存在感もなかなか。パチ屋の最後琴美と別れた時の後姿が印象的。
それだけに演出が微妙。ただ単に異常者の集団の話になってしまっている。
もっと普通の人たちの凶気みたいなところに着地できれば。
特にラストシーンがね。もったいないなー。
原作読み直そうと思ったけど見当たらず…。
あと中村ゆりが異常にエロい(笑)
2010年2月14日日曜日
【映画】抱擁のかけら
★★★★☆
スペインが誇る名匠、そしてゲイ匠のペドロ・アルモドバル監督の最新作。ちなみに大好きです。ゲイではないけど…。
基本的な話は昼ドラでもおかしくないくらいホント〜〜〜〜にベタ。
ただそこに、この監督独特の感性やら主張やらが入っていて全然退屈させない。
そして音楽。この音楽を聴くだけでオープニングから「あーアルモドバルの映画が始まったなー」という気持ちにひきずられます。
一番のオススメは実業家マルテルが息子に撮影させた映像を読唇術させているところに愛人レナが帰ってくる場面。この場面を観れただけで大満足。
それにしても途中にでてきたレントゲン写真の執拗な描写は何だったんだろうか…。
スペインが誇る名匠、そしてゲイ匠のペドロ・アルモドバル監督の最新作。ちなみに大好きです。ゲイではないけど…。
基本的な話は昼ドラでもおかしくないくらいホント〜〜〜〜にベタ。
ただそこに、この監督独特の感性やら主張やらが入っていて全然退屈させない。
そして音楽。この音楽を聴くだけでオープニングから「あーアルモドバルの映画が始まったなー」という気持ちにひきずられます。
一番のオススメは実業家マルテルが息子に撮影させた映像を読唇術させているところに愛人レナが帰ってくる場面。この場面を観れただけで大満足。
それにしても途中にでてきたレントゲン写真の執拗な描写は何だったんだろうか…。
2010年1月24日日曜日
【映画】マン・オン・ワイヤー
★★★★☆
411メートルあるWTCの屋上から綱渡りをしようとするフランス人大道芸人のドキュメンタリー。実話を基に再構築した映像と実際の映像を織りまぜながら構成している。
実際の映像が残ってたり、写真だけでもその凄さは確実に伝わってくる。一人でDVD見ながら何度「何やってんの…!?」とつぶやいたことか。
あまり綿密とはいえない侵入作戦。そこから起きるアクシデント。内通者の登場。映画的にもハラハラさせられっぱなし。ラストの仲間達のその後は何故か園子温監督の「気球クラブ、その後」を連想しました。
40分以上にわたりあの上空で綱渡りする姿はまさに、「史上最も美しい犯罪」と呼ぶにふさわしい。
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